委員募集

地域連携カーボンニュートラル推進委員会委員長

辻 佳子

化学工学会では2021年2月に「地域連携カーボンニュートラル推進委員会」が発足いたしました。カーボンニュートラルの達成のためには、どんな社会にすべきかを検討・設計し、必要なプロセスを想定し、適切な要素技術を求めていく必要であります。これは化学工学の考え方そのものだと思います。

化学工学の誕生は、20世紀初頭、大量のガソリンの需要に対し石油精製の大型連続合成設備が求められていたところに端を発します。多くの反応、分離プロセスを連動させ、全体システムを最適とするためのプラントの設計が行われてきました。その中で、それを達成するために、多段連続精留塔プロセスや、固体触媒粒子を流体のように扱うための流動層反応技術などの新プロセスが次々に発明されていき、「化学工学ならではのアプローチ」が醸成されていきました。つまり、必要な製品スペック・安全性・経済性を意識しながら化学プロセス全体を設計し、原料から製品に至る物質とエネルギーの流れの収支関係を明らかにし、各種装置・プロセスを設計するという考え方、特定プロセスの検討だけでなく、社会というシステムの全体を最適化することができるのが化学工学だと思います。

委員会では、2021年3月に第86年会におけるビジョンシンポジウム、9月の第52秋季大会における特別シンポジウムを開催してきました。その中で、以下の3点を述べてまいりました。

1) カーボンニュートラルの実現と同時に市民の心の豊かさなども考慮し、我慢による実現ではなく、魅力あふれる社会の具現化を目指す。社会実装の目的としてefficiencyに加えてsufficiencyの概念を加えるなど、従来の概念に縛られない地域社会の創成を目指す。

2) 国内外を問わず、産業構造や社会構造は、地域によって異なり、また、時代と共に変化する。従って、カーボンニュートラル達成のためには、地域や時系列を考慮したシナリオ構築を重要視し、Think locally & act globallyという意識改革をしていく。

3)  未来社会のシナリオに必要な技術開発を行う上で、従来の技術や考え方の延長上ではなく、既存の枠組みを超えて、柔軟性と機動性をもってイノベーションを創出する場とする。

また、準備委員会では、地域産業および地域コミュニティとの連携強化により具体的なケーススタディとして、周南コンビナートを含む周南地域のカーボンニュートラルプロジェクトを進めてきました。

本委員会では、地域毎の分科会を縦軸とし、カーボンニュートラルに必要な技術や学問体系の展開・深化、さらには、真のイノベーションのためのWGを横軸として活動してまいります。つきましては、会員のみなさまから、幅広くご参画を得て議論を広げ、深めるために、分科会およびWG、さらには委員の募集をさせていただきます。

募集期間

随時

募集内容

本会個人会員あるいはシニア会員を代表として、本会会員および会員外の方とともに、カーボンニュートラルを推進する活動。

応募方法

申請は、本会個人会員あるいはシニア会員から地域連携カーボンニュートラル推進委員長宛に行うこととします。

・化学工学会の会員番号
・ご所属
・お名前
・ご連絡先住所
・お電話番号
・連絡用メールアドレス
・委員会の中でご自身が取り組みたいことを、可能な限り具体的に教えてください。

問い合わせ先
scej.cn2050@scej.org(@→@)

参考資料

地域連携カーボンニュートラル推進委員会規則